100ポイントをめぐる人間ドラマ

かみのすけはスーパーのレジでバイトをしている。

店にはポイントカードがあり、1ポイント=1円としてお会計に利用できる。

昨日はポイントラッキー券(2000円以上お買い上げで100ポイント贈呈という魔法のようなクーポン券)の回収日であった。

まんまと魔法にかかった客たちが、猛牛のごとく血走った眼をひんむいてドッと押し寄せる…仁義なき戦いの幕開け。

ポイントラッキー券をめぐっては、それぞれにドラマがある。

ひとりの青年は大量に菓子類を買い込んだが2000円という大台に達することができず涙を飲んだ。

また、ある婦人はポイントラッキー券の存在を意識しすぎたばかりに、肝心のポイントカードを忘れ地獄を見た。

別の老婆は2000円には達したものの、会計後に券を出したため認められず、手足の震えが止まらなかった。

このように、100ポイントをめぐって様々な葛藤や心情の変化が客人たちを襲う。

そんな中、ある小太りの女は賭けに出た。5キロの米のみをズッシリと抱えて堂々とレジに並んだのだ。左手にはしっかりとポイントラッキー券を握りしめている。

たった1点のみのお買い上げで100ポイントを根こそぎさらいあげようという魂胆である。

かみのすけは思った。大胆すぎる。この女はただ者じゃない。その自信に満ちた表情からは余裕すら感じられる。

ピッ…「2480」

いったぁーーー!!!

100ポイント持ってかれたー!!

が…次の瞬間、その表示は「1984」に変わった。

バーコード上に貼られた「20%割引」のシールが、無情にも自動値引をお見舞いしたのだ。

女の野望は儚く打ち砕かれた。

…たった一瞬の甘い夢だった。

あと16円…16円だけ足りなかった。

左手に握りしめられたポイントラッキー券は一瞬にして紙クズと化した。

5キロの米は、10キロにも20キロにも感じられ、女の心に重くのしかかった。

かみのすけは思った。

人生そんなに甘くない。

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