シカの恩返し【出会い編】

 
むかーしむかし
 
(2週間くらい前)
 
 
 
あるところに
 
 
かみのすけという
 
細長い男がおりました
 
 
 
かみのすけは
 
 
重くのしかかる現実から
 
逃れるため
 
 
大雪山のふもとにある
 
 
天人狭温泉を目指し
 
 
北へ北へと
 
車を走らせておりました
 
 
人気のない山道は
 
奥へ進むにつれ
 
いっそう雪深く
 
 
冷えきったかみのすけの心を
 
映しているかのようでした
 
 
日没が近づいています
 
 
もう こんなところに
 
温泉なんてあるはずがない
 
 
かみのすけは
 
来た道を
 
引き返す覚悟を決めました
 
 
その時です
 
 
かみのすけの車の前に
 
 
どこからともなく
 
年老いたシカが現れました
 
 
右後足を引きずっています
 
 
 
 
シカは ふらふらと
 
かみのすけの車に近寄り
 
よろめき倒れました
 
 
かみのすけは
 
あっ と驚いたものの
 
車から降りるのが面倒なので
 
 
頭の中で
 
「シカを助けている自分」を
 
イメージしました
 
 
 
するとシカは
 
再びのっしりと立ち上がり
 
 
かみのすけに向かって
 
軽く頭を下げ
 
 
道をあけ こう言いました
 
 
 
温泉
 
入ったらいいじゃない
 
人生
 
楽しんだらいいじゃない
 
 
その温泉は
 
 
天人峡という山峡にあり
 
 
羽衣の滝という
 
なんとも美しい滝が
 
 
幻想的でありました
 
 
 
かみのすけは
 
 
岩肌を粗削りにした内装に
 
すっかり魅了され
 
 
一心不乱に身を清めました
 
 
まるで心に蓄積した垢を
 
洗い流すかのように…
 
 
 
内湯に浸かり
 
科学と哲学の境界線について
 
思いを馳せておりますと
 
 
露天風呂の方から
 
何やら声が聞こえます
 
 
 
温泉
 
入ったらいいじゃない
 
人生
 
楽しんだらいいじゃない
 
 
 
露天風呂の中を
 
歩き回る老人
 
 
よく見ると
 
右足を引きずっています
 
 
かみのすけは思いました< /DIV>
 
 
関わってはいけない人だ
 
 
かみのすけが背を向けると
 
今度は先程より大きな声で
 
老人が言いました
 
 
「入ったらいいじゃない」
 
 
 
次回につづく
 
 

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4 件のコメント

  • そんな自然に囲まれた温泉行ってみたいですねぇ。
    某ジブリ映画にシシ神さまが出てくるように、神道において鹿は「神様の使い」ですからね。
    何か見えない力が働いた時間なのかも?笑
    続き楽しみにしてます♪

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